一人旅をこよなく愛する、アラカンサラリーマンのOusuiです。
私は、2017年11月に、JRの鉄道路線を全線完乗しました。
50代を目の前にして、学生時代以来となる「乗り鉄」の世界に復帰し、どのようにしてJR全線完乗に至ったかを綴っていきます。
2012年8月25日 東北新幹線(+弘南鉄道・津軽鉄道)
東北新幹線の八戸~新青森が開通したのは、2010年12月4日。
その翌年の3月には、最高時速300km運転の新幹線E5系電車が運行を開始します。この電車にはグリーン車を越える設備をもった「グランクラス」が設定されており、久々の「乗り鉄旅行」となる今回は、是非ともこの車両に乗ってみたいと思っていました。
東京駅を8時12分に出発する「はやぶさ1号」に乗車します。
2日前にグランクラスで残っていた最後の一席を取れたのは、ラッキーでした。グリーン車ですらほとんど乗った記憶がなく、普通車が満席の時にやむなく選択するぐらいだったのですが、ゆったりして微調整の効くリクライニングシートは、快適そのものです。
アルコールを含めてフリードリンク制で、注文したワインのボトルとグラスには、グランクラスのロゴが入っていました。和洋選べる軽食も実に美味。
東北新幹線はトンネル区間が多く、平地でも防音壁が高くて景色はほとんど楽しめませんが、あっという間の11時12分に新青森駅に到着し、東北新幹線・八戸~新青森の未乗区間をクリアです。
新青森駅で、「東北ローカル線パス」を購入します。現在は発売されていませんが、2014年までJR東日本の東北6県の路線と私鉄・第3セクターの路線に3日間乗り放題(6,000円)というお得な切符が利用できました。
まずはJR奥羽本線で浪岡に移動。ここから弘南バスに乗り換えて黒石まで向かいます。前のみに入り口のある小型バスでした。
黒石を13時20分に出発する弘南鉄道弘南線の電車に乗車。冷房の無いロングシートの車両で、30分足らずで弘前駅に到着します。
この日の弘前の気温は34度あり、汗だくになりながら中央弘前駅まで歩きます。弘前の中心部で賑やかなところを予想していたが、とてもうらぶれた感じの駅舎だったのに驚きました。
14時30分発の弘南鉄道大鰐線に乗車し、終点の大鰐まで30分弱で到着です。
さて、ここから先の行程は決めておらず、秋田縦貫鉄道に乗るかどうか迷っていましたが、角館・横手近辺の宿があいておらず、明日に回すことにしました。
一旦弘前までJRで戻り、指定券を購入して16時8分発の「リゾートしらかみ」に乗車して五所川原へ向かいます。天気が回復してきたので、海岸沿いの景色がよさそうでしたが、残念ながら今回はそこまで行くことができません。川部で進行方向が変わり、りんご農園の中を走るようになります。
弘前から40分で五所川原に到着し、ここで津軽鉄道に乗り換えます。この鉄道は、「東北ローカル線パス」が使えないので、ホームの駅員に切符のことを聞くと、終点の津軽中里駅で買ってくれとのことでした。
「走れメロス」と書かれた1両のワンマンカーは結構新しい車両で、冷房も効いたセミクロスシートの座席は快適でした。乗客のほとんどは高校生で、大半は金木で降りていきます。
終点の津軽中里駅には17時28分に到着。かつては駅舎にスーパーが並立していたようですが、いまは閉鎖されていて、駅前には居酒屋や酒屋とタクシー会社がある程度でした。
弘前に戻り、駅前の「ベストウェスタンホテルニューシティ弘前」にチェックイン。じゃらんで予約したダブルベッドの部屋は、広くてなかなか快適です。
近くの居酒屋「松ノ木」にて、晩酌弁当(2,100円)を注文しますが。旬の刺身・揚げ物・煮物がどっさり盛られて、これだけで満腹。地酒も旨かった~。
2012年8月26日 陸羽西線・陸羽東線(+秋田内陸縦貫鉄道)
弘前を早朝に出発。大館まではロングシートの二両編成の電車で、そこから鷹ノ巣まではセミクロスシートの気動車に変わります。
鷹ノ巣駅に到着し売店兼軽食スペースで朝食をとってから、再びホームに入場すると、ちょうど青森行き寝台特急「あけぼの」が入線してきました。当時としても、数少なくなった寝台列車です。その2年後の2014年3月のダイヤ改正で定期運行が終了し、現在では運行できる車両がないことから、事実上の廃止扱いとなっているようです。
秋田内陸縦貫鉄道の気動車は1両編成で、8時18分に鷹ノ巣駅を後にします。
各駅で想像以上に乗り降りがあり、車内はそこそこ混んでいました。
沿線の中心にある阿仁合から編成はそのままで、急行「もりよし」の運転に変わり、女性の乗務員が乗り込んできて、車窓案内と社内販売も開始されます。
阿仁合を出て間もなく高い鉄橋を渡りますが、最徐行して景観を堪能させてくれます。紅葉の時期が良いところだとアナウンスがありました。
比立内から松葉までは、国鉄分割民営化後に開業した区間で、そのためトンネルで山間を抜ける箇所が多くなります。
角館の手前で右手に田圃アートが現れ、ここでも徐行運転で景色を眺めさせてくれます。
角館には10時23分に到着。急行料金を精算して、外へ出ます。秋田内陸縦貫鉄道は、想像以上におもしろいところでしたが、年間2億以上の赤字らしく、いつまで存続できるのか・・・
新幹線こまちで秋田へ向かいます。この間は、別途、乗車券特急券が必要となります。
最初のプランでは、大曲から横手経由で、北上線を乗りつぶして、予約してある鳴子温泉に行く予定でしたが、翌日の新庄方面のダイヤがよろしくなく、結局、日本海側から新庄~鳴子温泉へのルートに変更しました。
秋田12時10分発の酒田行きの電車は、例によってロングシートの2両編成で、座席はほぼ埋まっていましたが、その多くは次の駅で降りていきました。
下浜の手前からは、右手に日本海が見られるようになります。この列車は各駅停車ですが、さすがに幹線とあって、なかなかの快速運転です。
象潟が近づくと、かつて海に浮かんでいた松島が、田圃の中に点在する奇妙な景色がみられ、深浦までは、右手に海の眺めが広がります。
吹浦を過ぎると左手には鳥海山の姿。残念ながら、山腹の上は、雲に覆われていましたが。
酒田到着後、14時ちょうど発の新庄行きの快速最上川に乗り換えます。2両編成クロスシートの左側は、一人づつ向かい合わせになっていますが、あいにく全て埋まっていました。
余目からは、JR線の未乗区間・陸羽西線に入ります。左手に続く最上川の景色を楽しみながら、14時51分に新庄駅に到着。ここで1時間超の接続待ちがあり、駅に隣接した施設の喫茶店で休憩することに。
新庄から先は陸羽東線となりますが、ここも初めて乗る区間です。16:10発の鳴子温泉行きは、酒田から乗車したのと同じタイプの車両で、今回はセミクロスシートの座席に座ることができました。
別称・「奥の細道湯けむりライン」の名の通り、駅名に温泉の名前が付いた駅が続きます。
堺田で分水嶺を超え、体感でわかる位に急な下りとなり、そこからおよそ10分後の中山平温泉を経て、17時10分に鳴子温泉駅へ到着。新庄からはちょうど1時間の旅でした。
駅から徒歩5分ほどの「ゆさや旅館」へ。
周りの大規模な旅館に囲まれた、古いつくりの落ち着いたところでした。宿から離れた貸切露天風呂、にごり湯の内湯ともに気持ちの良いお湯で、料理も美味。
2012年8月27日 陸羽東線・仙石線(+仙台市交通局・仙台空港鉄道・阿武隈急行・福島交通)
8時過ぎの列車に乗るため、朝食を7時からにしてもらいます。朝食とは思えないほどの品数が、テーブルに所狭しと並べられていました。宿の外に出ると、好天だが思いの外涼しい。
鳴子温泉発8時1分の列車で、陸羽東線の乗りつぶしを進めます。
鳴子温泉から1時間弱の8時59分に、小牛田駅に到着。かつては長い編成の車両が行き交った名残りで、駅のホームは驚くほど長大でした。ここで東北本線に乗り換え、20分ほどで松島駅へ。
東京を出てから、ひたすら列車に乗り続けていましたが、ここからしばらくは、「観光」モードになります。
タクシーで、松島を上から眺められる「西行戻しの松公園」の展望台へ。
運転手さんによると、松島は、この近辺で、東日本大震災での津波の被害が唯一無かったところだったそうです。展望台から見ると、遠くの方まで大きな島があり、天然の防波堤になったのかもしれません。その後、瑞巌寺まで走ってもらい2,000円ちょうど、思いのほか料金が安かったのが嬉しい。
瑞巌寺は、国宝に指定されている本堂が、震災の復興工事で非公開となっていました。代わりに、同じく国宝の庫裡や、仮本堂としての大書院、陽徳院御霊屋が、特別公開されています。
そこから海岸へ出て、五大堂から松島を眺めます。松島に前回来たのは、中学を卒業する直前の1978年3月で、約35年ぶりの再訪となりました。
仙石線の松島海岸駅から、11時3分発の列車であおば通駅に向かいます。
仙台から松島海岸までの区間は以前にも乗ったことがありましたが、2000年3月に仙台~あおば通の0.5kmが新たに開業し、ここが未乗区間となっていました。約40分の乗車で、あおば通駅に到着。
ここから仙台市交通局・南北線に乗り換えます。仙台市に地下鉄が初めて開通(南北線・富沢~八乙女)したのは、1987年7月で、まだ「昭和」の時代のことです。その五年後に八乙女~泉中央が開通していました。この路線も未乗区間です。
まずは、北の終点・泉中央まで行き、そこから折り返して、南の終点・富沢へ。景色が全く見えない地下鉄の乗りつぶしは全然テンションが上がりませんが、一応、これで仙台市地下鉄はクリア。(※その後、2015年に新たに東西線が開通しました)
富沢駅から長町駅に戻り、ここでJR線に乗り換えます。
長町駅13時16分発の仙台空港行きは、通路まで混んでおり、久しぶりに都会に出てきた感じがしました。列車は、名取駅から仙台空港鉄道の路線に直通し、13時35分に仙台空港駅に到着。
空港内のカフェで時間をつぶして、ふたたび空港アクセス線に乗車し、名取でJRに乗り換えて、槻木駅で下車します。
槻木からは、またも初めての阿武隈急行に乗車します。
阿武隈急行は、旧・国鉄丸森線(槻木~丸森)を引き継ぐ形で、1986年7月に開業。その2年後に福島~丸森間も営業開始となり全線が開通しました。
15時ちょうど発の福島行きの列車に乗車すると、もともと少なかった乗客が途中からほとんどいなくなり、靴を脱いで遠慮なくボックスを占領することに。車窓も変化に乏しい田園風景で、読書タイムとなりました。
1時間20分で福島駅に到着、同じホームの隣の車線に、福島交通飯坂線の電車がとまっており、すぐ乗り換えます。
福島駅から終点の飯坂温泉まで、約20分の路線です。この路線の開業は古く大正時代末期の1924年には全線が開業していたようです。(※「鉄道要覧」より。Wikipediaでは、現在の花水坂~飯坂温泉間の開業は昭和に入ってからとなっており、この違いの詳細は不明)
飯坂温泉に到着した電車はすぐ折り返しになりますが、せっかくなのでしばらく温泉街を散策。飯坂温泉発祥の共同湯を見てから、駅に戻ります。
福島交通飯坂線で福島に戻り、ここからJRに乗り換え。福島からの列車の座席は、ほぼ埋まっていてしばらく立ったまま過ごすことになります。18時40分に郡山着。
今日の宿「コンフォートホテル郡山」は、繁華街とは正反対の東口にあり、何重にも連なる線路を自由通路で渡ってようやく辿り着きました。
2012年8月28日 水郡線・水戸線・両毛線(+真岡鐵道)
郡山駅の長いホームのさらに先に、水郡線の乗り場があり、すっかりおなじみになった、4 × 2のセミクロスシートの気動車が、2両編成でとまっています。
7時11分発の水郡線常陸大子行きに乗車するも途中ウトウトしつつ、福島と茨城の県境を超えて、8時58分に常陸大子に到着。
ここでの待ち合わせが40分ほど。著名な袋田の滝までタクシーを使えば往復できそうな感じでしたが、往復で4000円ほどかかるようで、街中の散策で時間をつぶします。
9時40発水戸行きに乗車。久慈川に沿ってしばらく走ります。水戸が近づくに連れて段々と乗客が増え、最後は通路までぎっしりとなっていました。
水戸には10時56分に到着。安積永盛から水戸までの137.5kmは今回の旅では最長の未乗区間でしたが、4時間弱でクリア。
水戸での接続待ちが30分ほどあり、この後の行程がタイトなので、駅そばで早めの昼食。
11時31分発の常磐線の電車で水戸から友部に行き、ここで11時49分発の水戸線に乗り換えます。
水戸線も長らく未乗区間のひとつでしたが、小山~下館の間は3か月前に日帰りで乗車しており、今回の友部~下館間34kmの乗車で全線クリアとなりました。
下館駅で30分ほど待ち合わせですが、駅前は寂れていて、ファストフードやカフェは見当たりません。かつてSATYだった駅前の大きなビルも今は、筑西市の公共施設で埋められていました。
13時2分発の茂木行き真岡鐵道に乗車。長いロングシートの1両のみのワンマンカーですが、乗客は20人強で半分以上は地元の高校生のようです。
この路線はかつては旧国鉄とそれを引き継いだJR東日本の真岡線でしたが、1988年に第三セクターの路線として継続されています。
13時25分に、真岡駅に到着。構内は広く、ローカル線とは思えないような立派な駅ビルがあります。
終点の茂木には、14時07分に到着。駅ナカに、「平成そば」のノボリを立てた軽食をとれる店が営業していました。
ここからは宇都宮へ向かうJRバスが運行されており、しかも接続が良すぎる3分後の発車となっています。
しばらくは真岡鐵道の近くを走行して、下館方面に向かう列車の姿もみられましたが、西側に進路をとって、芳賀町を経由して宇都宮に向かいます。途中の乗り降りもほとんど無く、いつしかバスを貸切状態に。
15時20分過ぎに、バスはJR宇都宮駅前に到着。
乗り継ぎのスケジュールが良すぎると、食事をする時間がありません。あまりにお腹がすいたので、駅近くの「宇都宮餃子館」へ。スタミナ健太餃子、続けて、しそ餃子を注文。小ぶりの6個入りで、タレをつけなくても十分イケました。
とりあえずは空腹を満たして、小山まで行きます。ここで、両毛線に乗り換えですが、階段の工事中のためか、両毛線のホームまで、かなり長い通路を歩かされることになります。
16時50発高崎行き普通列車に乗車。4両編成のロングシート。
途中の佐野で10分近く停車があり、17時39分に足利着、ここで人の流れが変わるのか、空いていた車両に人が乗り込んできて賑やかになります。
桐生・伊勢崎・前橋とそこそこ人口の多いところは高架駅になっていて、18時48分に高崎駅に到着です。
今回の総括
朝から晩まで4日間鉄道に乗り続けるというのは、ふんだんに時間のあった学生時代以来の体験でした。
4日間で踏破したJR路線の距離は450km強と、かなり乗った感じなのですが、それでも全路線の5%程度。この時点でJR路線全線の75%を越えていましたが、まだまだ先は長い・・・
最後に、今回乗車した路線・区間・距離をまとめておきます。
JR線
会社 | 路線名 | 乗車区間 | 乗車キロ |
JR東日本 | 東北新幹線 | 八戸 – 新青森 | 81.8 |
JR東日本 | 陸羽西線 | 余目 – 新庄 | 43.0 |
JR東日本 | 陸羽東線 | 新庄 – 古川 | 84.7 |
JR東日本 | 仙石線 | 仙台 – あおば通 | 0.5 |
JR東日本 | 水郡線 | 安積永盛 – 水戸 | 137.5 |
JR東日本 | 水戸線 | 友部 – 下館 | 34.0 |
JR東日本 | 両毛線 | 小山 – 新前橋 | 84.4 |
合計 | 465.9 |
私鉄・第三セクター線
会社 | 路線名 | 乗車区間 | 乗車キロ |
弘南鉄道 | 弘南線 | 黒石 – 弘前 | 16.8 |
弘南鉄道 | 大鰐線 | 中央弘前 – 大鰐 | 13.9 |
津軽鉄道 | 津軽鉄道線 | 津軽五所川原 – 津軽中里 | 20.7 |
秋田内陸縦貫鉄道 | 秋田内陸線 | 鷹巣 – 角館 | 94.2 |
仙台市交通局 | 南北線 | 泉中央 – 富沢 | 14.8 |
仙台空港鉄道 | 仙台空港線 | 名取 – 仙台空港 | 7.1 |
阿武隈急行 | 阿武隈急行線 | 槻木 – 福島 | 54.9 |
福島交通 | 飯坂線 | 福島 – 飯坂温泉 | 9.2 |
真岡鐵道 | 真岡線 | 下館 – 茂木 | 41.9 |
合計 | 273.5 |
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