一人旅をこよなく愛する、アラカンサラリーマンのOusuiです。
私は、2017年11月に、JRの鉄道路線を全線完乗しました。
50代を目の前にして、学生時代以来となる「乗り鉄」の世界に復帰し、どのようにしてJR全線完乗に至ったかを綴っていきます。
2016年1月29日 北上線・釜石線
「50代になって良かったと思ったことは?」
そんな質問をされたら答えに窮しますが、ひとつだけあげるとすれば、「大人の休日倶楽部パス」が使えるようになったことでしょう。
大人の休日倶楽部は、50歳以上の人が入会できるJR東日本の会員制サービスですが、「大人の休日倶楽部パス」という会員限定のお得な切符が、年に3回程度発売されています。
JR東日本圏内のJR全線(および一部の私鉄・第三セクター線)が、新幹線も含めて4日間乗り放題で、たったの1万5270円という激安さ。(消費税が10%になる前は、ぴったり15,000円でした)
今回は、この激安きっぷで旅します。
東京駅7:12発のつばさ123号の自由席に乗車します。東京駅ではガラガラでしたが、上野、大宮と止まるうちに乗客が増えていき、10:54に新庄駅に到着します。
ここからの接続は比較的良く、11:19発の秋田行きに乗り換え。全てロングシートでしたが、弁当を食べている人もいました。
新庄を出て、ちょうど1時間半後の12:49に横手駅へ。駅前で横手やきそばを食べて、駅に戻ります。駅側にある施設の広場にかまくらの形をした巨大な雪像がならんでいました。
横手は、450年の歴史をもつという伝統行事「かまくら」で有名なところで、市内には通年で体験できる「かまくら館」もありますが、今回は時間もなく断念。
横手13:44発の北上行きに乗車。ここから北上までの北上線が未乗路線でした。
北上線の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
北上線は、東西に位置する横手~北上間の61.1kmをほぼ直線に近い形で敷設されている路線で、単線・非電化のローカル線です。1920年(大正9年)の横手~相野々間の開業を皮切りに、東西から建設がすすめられ、1924年(大正13年)には、現在の北上(当時は、黒沢尻)~横手の全線が開業しています。
現在では、1日5~6往復の運行という、とても寂しい状況になっていますが、秋田新幹線開業に伴う田沢湖線の改軌工事中は、北上から秋田までの特急「秋田リレー号」が運行されていました。
日帰り温泉施設を持つ駅舎で有名な「ほっとゆだ」駅や錦秋湖を通り、終点の北上駅には15:13に到着。
北上から東北新幹線で次の新花巻まで行き、ここで釜石線に乗り換えます。
釜石線の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
釜石線は、花巻~釜石までの90.2kmの路線ですが、その内、花巻~新花巻のわずか6.4kmが未乗区間として残っていました。
新幹線の立派な建物から一旦改札の外に出て、東京方面に少し戻ったところに釜石線の新花巻駅があります。新花巻を15:58に発車し、二駅先の花巻駅には16:05に到着。
さて、本日の宿は、大沢温泉の「山水閣」。温泉通の知人からのおススメです。
花巻駅前から、花巻南温泉峡無料送迎バスで、大沢温泉へ。新館4階の一番端の部屋だが、座椅子とテーブル付きの立派な10畳の和室。シーズンオフとはいえ、とても一泊二食付き14000円(税抜き)で泊まれる部屋とは思えません。
少し部屋で休んでから、山水閣の宿泊客のみ入れる「山水の湯(内湯、露天)」「豊沢の湯(半露天だが、冬季のため窓を閉め切っていた)」をハシゴです。
夕食は、19時から部屋食となっていました。
2016年1月30日 八戸線(+三陸鉄道)
5時半に目覚ましをセットして、6時から残りの風呂めぐりです。
まずは、湯治屋のレトロな「薬師の湯」で体を温めてから、橋を渡って対岸の菊水館の「南部の湯」。
最後に、湯治屋の露天風呂「大沢の湯」。川沿いの眺めの良いところだが、外から丸見えで、混浴とはいえ、流石に女性にはハードルが高そう。もちろん、男性客しかいませんでした。
7時からバイキングの朝食を済ませ、8時に大沢温泉を出てからは、花巻、盛岡と乗り継いで、八戸には10時半に到着します。雪は少なく、空も晴れています。
この後は、八戸線に乗車する予定ですが、あいにく2時間近く空いており、駅ビルのカフェや街中を散策しながら時間をつぶします。
八戸線の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
12:22発の久慈行きに乗車。八戸線は、全長64.9kmの路線ですが、その大半が太平洋岸に面しており、大変良い眺望が続きます。
列車は、1時間40分後の14:05に終点の久慈に到着。
ここからは、三陸鉄道・北リアス線に乗り換えですが、5分後の14:10に発車。
三陸鉄道の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
久慈駅は、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となったところで、駅前のロケ地などを見学したかったのですが、接続が良すぎて叶いませんでした。
久慈から普代までは、旧国鉄・久慈線として1975年に開業した路線です。二か所の鉄橋を通る際に、列車も停車。「あまちゃん」の1シーンが目に浮かびますが、その撮影をされたのが、いま乗っている車両だとのこと。
普代から田老までは、1984年に三陸鉄道として開業した区間となります。比較的新しい路線のため、想像以上にトンネルだらけですが、三陸鉄道の東日本大震災からの復旧が他のJR線に比べて早かったのは、そういう理由もあるのでしょう。
さて、途中の田野畑で下車して、北山崎まで観光できないか検討したのですが、列車と観光タクシーの連絡が悪く断念。
終点の宮古駅には、15:47に到着します。
この当時、東日本大震災からほぼ5年が経過していましたが、JR山田線の宮古~釜石間は復旧の目処が立っていない状況でした。
この間を2つの路線バスを乗り継いで、釜石に向かいます。
まずは、16:05発船越駅行きの県北バスに乗車。車内は満席でしばらく立ったままとなります。
山田に近づくと、海岸沿いの建物が少なくなり、プレハブの店などが立ち並んでいて、津波の爪痕が強く感じられます。
道の駅やまだでバスを下車し、17:28発の岩手県交通バスで釜石に向かいます。
バスに乗車する中で、釜石駅前の「ホテルフォルクーロ三陸釜石」を予約し、釜石には18:16に到着。
チェックイン後しばらく休んで、プレハブの店舗が並ぶ「はまゆり飲んべえ横丁」へ向かい、そこにある「こんとき」へ。
まずは餃子とビールを注文。最後に「釜石ラーメン」ですが、これが物凄く美味。塩に近い醤油味ですが、飲み干したくなる穏やかな味のスープ。
麺は細めの縮れ麺。今風では無いが、飽きない味でした。
(2023年5月現在では、場所を移転して営業しているようです)
2016年1月31日 大船渡線・仙石線・東北本線
釜石を6:15に発車する三陸鉄道・南リアス線で、盛に向かいます。
三陸鉄道の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
この路線も、1973年に盛~吉浜間が旧・国鉄盛線として開業したものの、1981年には国鉄再建法における第1次特定地方交通線に指定され、国鉄路線としては廃止が決定。その後、未開業区間だった吉浜~釜石間を含めて、三陸鉄道・南リアス線として新スタートを切ったものです。
釜石を出発する時点では、あたりはまだ暗かったのですが、盛駅に到着する7:02にはすっかり夜は明けていました。
盛から先は、JR大船渡線(当時)になりますが、東日本大震災で津波による大きな被害を受け鉄道路線としては不通となっていました。その後、2013年3月より不通区間だった盛~気仙沼間をBRTによる運行がスタートしています。
三陸鉄道のホームに隣接する形でとまっていた、7:07発のBRTに乗車。
見た目は普通のバスですが、小友までは、線路跡の専用道路を走行します。対向車との入れ違いの信号や、一般道路との交差するところには踏切があります。
通常の踏切とは逆で、BRTが走らない時は、専用道路に進入できないよう、遮断機が降りているのがユニークです。
陸前高田からは、かつての鉄道ルートを離れ、奇跡の一本松付近を通過して、新たに整備された道路、トンネルを抜けて、気仙沼には8:29に到着。
気仙沼で1時間ほど待ち時間があり、少し街中を散策して駅に戻ります。
ここから先は、JR大船渡線の鉄道路線になります。
JR大船渡線の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
路線図を見ると、陸中門崎から千廐間で大きく北側に線路が迂回していて、当時の選挙結果で路線計画が変更されるという「我田引鉄」の路線として有名なところです。
気仙沼を9:14に発車した列車は、そのような迂回路を巡りつつ、10:37に一ノ関に到着。
一ノ関からは、東北本線で小牛田へ行き、さらに石巻線に乗り換え。一ノ関と小牛田での接続が良すぎて一服する間もなく、12:12に石巻に到着です。気仙沼からほぼ3時間が経っていました。
12:25発の仙石線に乗車。石巻から松島海岸までが未乗区間でした。
JR仙石線の路線図(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
石巻は、漫画家・石ノ森章太郎のゆかりの土地で、同氏は第2の故郷としていたそうです。市内には「石ノ森萬画館」があり、駅舎やラッピング車用にも、同氏が描いたキャラクターが使用されていました。
松島海岸には、13:11に到着。
待ち時間の間に、駅前の「たからや食堂」でランチです。8種類の海産物がごっそりと詰められていて、ご飯がほとんど見えない海鮮丼(1,680円)を注文。
松島海岸駅からは、14:01発の仙石線で一旦高樹町に戻り、2015年5月に開業したばかりの東北本線支線(仙石線・東北本線接続線)と、東北本線・利府支線をそれぞれ絶妙のタイミングで乗りつぶし、仙台駅には、15:38に到着です。
今回の総括
最後に、今回乗車した路線・区間・距離をまとめておきます。
JR線
会社 | 路線名 | 乗車区間 | 乗車キロ |
JR東日本 | 北上線 | 横手 – 北上 | 61.1 |
JR東日本 | 釜石線 | 新花巻 – 花巻 | 6.4 |
JR東日本 | 八戸線 | 八戸 – 久慈 | 64.9 |
JR東日本 | 大船渡線 | 気仙沼 – 一ノ関 | 62.0 |
JR東日本 | 仙石線 | 石巻 – 松島海岸 | 25.8 |
JR東日本 | 東北本線 | 高城町 – 松島 | 0.3 |
JR東日本 | 東北本線 | 岩切 – 利府 | 4.2 |
合計 | 224.7 |
私鉄・第3セクター線
会社 | 路線名 | 乗車区間 | 乗車キロ |
三陸鉄道 | 北リアス線 | 久慈 – 宮古 | 71.0 |
三陸鉄道 | 南リアス線 | 釜石 – 盛 | 36.6 |
合計 | 107.6 |
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